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小さな映画館に寄せて

寒さに闇にふるえた映画小屋 2012.08.06 (Mon)

試写会を見てきてくださった友人の村雲司さんが、早速、「梅が丘通信」という俳句通信に『小さな町の小さな映画館』のことを書いてくださった。
試写会の頃、慌しい毎日を過していた私は、すっかり、掲載のチャンスを逃してしまったので、改めて許可を頂き転載します!

寒さに闇に夢にふるえた映画小屋

友人が三年程かけて完成させた記録映画「小さな町の小さな映画館」の試写会に出掛けた。北海道の浦河に九十三年も続く映画館の話である。一度に二つの映像を味わうような充実した一〇五分だった。浦河の映画館「大黒座」と幼い日に通った故郷の「神田座」が、ずっと重なり合った。映画館は大きな夢の箱だった。見世物小屋で、図書館で、博物館だった。

アラカンが白馬に乗って駈けて来た。数人を切り伏せた後、「今日のところは見逃してやろう」と駈け去った。正義は敵を全滅させることはなかった。そうだ、あそこにも八百長があったのではないか。八百長が「思いやり」と言う文化であるなら、その繊細な感情の機微を私達は映画館でも学んだのだ。映画館のあの大きな闇は、観るではなく体験の場だった。地域の老若男女が集い、共通の体験をする場所の大切さを改めて思った。大黒座は、映画館がそうしたかけがえのない存在であると知る多くの人たちが支えている。

「SF活劇を見終わって大黒座を出たら、浦河の町が逆にSFの世界のように感じられた」と、インタビューに答える人のシーンが印象に残った。同じ映画でも観る土地によって多彩な顔を見せるのである。映画館は地域ならではの特性を見出す場所。町興しは映画館から!

※ 当時、相撲の八百長事件が話題になっていました。

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